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裏蓋を開けて凝視する

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GPS時計の電池を弄った。最初に温めてしまったので直ぐに壊れた。正直リティウムポリマー電池を弄るのは初めてだ。一番よく使われているのは隠しカメラのような小さな軽く且つパワーの必要な充電池としてらしい。だからドローン用にカメラの充電池として販売されている。通常の腕時計なら必要ないのだろうが、GPSとなるとパワーのある充電式が必要となるのだろう。

写真にあるように、正負電極のある内側が赤、外側が黒の銅線でボードに接続されている。とても小さいのだが、通常の半田付けのようで、弄っているうちに外れた。コードも固くなっていた。入っていた電池は30x27x5ほどの電池で、3.7Vで280mAhである。充電池であるからポリマージェルの量が増えるほど充電能力が上がるが、大きさが嵩張ってくる。腕時計の裏蓋を開けた場所は厚さも厳しいが、大きさも少しでも大きければ収まらない。

ネットで調べると同じ大きさのものは米国にはあるようだが、欧州ではオファーが見つからなかった。同じ280でも長細くなったりで正方形に近いものは無かった。あったとしてもとても高価だった。そもそも時計自体が100ユーロほどのものだから、修理を試してみるのに投資する額の上限は押さえられる。そこで見つけたのは、240mAhで25x20x5で3.60ユーロで送料を入れて5.55ユーロの電池である。この大きさが正しければ収まる可能性は高い。これで上手く動いてくれれば、もう少し金を掛けてより大きめのものを取り寄せてもよいだろう。

280mAhでGPS12時間使用だったので、10時間17分使用可能となる。本当にそれだけ使えれば重さも若干軽くなるだろうから嬉しいのだが、さてどうなることか。先ずは細かな半田付けをするのが大変だ。導電性の接着剤というのもあるようなのでそれも調べてみたい。まあ、先ずは試してみよう。もう少し使い易そうな半田こてを買うか。

「パルシファル」第二幕をLP名盤で聞いた。ハンス・クナッパーツブッシュ指揮で1962年のバイロイトでの実況録音で、お決まりの名盤である。久しぶりにLPに、それもこの取って置きのフィリップス盤に針を下ろした。音は味のあるアナログトーンでいいのだが、その籠った音を聞いて、バイロイトの蓋付きの音響を思い出した。この作品はそこで演奏されるために創作されているのだが、本当にこのようなバランスを楽匠が考えていたのか?それはここ暫く考察してみたい。

それはさて措き、敢えてこの名盤でも印象の薄い二幕を楽譜を前に流したのだが、予想していた通り、リズムが悪い。これはいつものことで仕方ないが、その分曲を良く知っていて溶岩が固まって流れるような音楽運びの中でしっかりと核心を突いてくるのが、流石にこのクンドリーで学士論文を書いただこの指揮者の見識の高さである。

それでもこの指揮者の下での演奏が散々なことになっていて、この水準までには今やどんな指揮者が振ってもガタガタにはならない。その下手なアンサムブルに、歌手がまた適当にそれも言葉が全く聞き取れないようなよたよたの歌で乗ると、神聖劇ながら殆ど笑ってしまうようなところが頻出するのである。一般的に思われているように無為自然にツボを押さえた読譜と棒捌きというよりも、その見識ゆえかとても明白な強調の様に聞こえる部分は殆ど突然に目覚めた覚醒のようでいて、ある種の表現主義的な表現である。楽劇におけるテムポとリズムの端正さということでは全曲録音の存在しないフルトヴェングラー指揮の方が明らかに自然だったと思う。フルトヴェングラーのヴァークナー創作への一種の懐疑のようなものが客観性を確保させたのかもしれない。

確か、これよりも古い実況録音の方が良いとか悪いとか読んだことがあるような気もするが、聖金曜日の音楽などの核心部を除くとやはりこの指揮者も晩年でよれよれになっていたのかもしれない。なるほどテムポの遅さについては書かれていても、それではなくこのリズムのタメでは全く駄目だ。流していて楽譜を見乍らでも眠くなってどうしようもない。このような怠い演奏を聞いていて居眠りせずに感動している人がいるとすればそれはきっと精神を病んでいるに違いないとまで思った。



参照:
爺さん殺しの音楽監督 2017-11-19 | 雑感
魂をえぐる天国的響きに 2016-06-13 | 雑感
社会的情念の暴力と公共 2016-06-01 | 音
「マイスタージンガー」の稽古 2016-05-17 | 音
なにが黄昏れたのか 2018-02-11 | 音

by pfaelzerwein | 2018-03-09 01:49 | テクニック | Trackback
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