州立歌劇場でアニメ鑑賞「エレクトラ」で、なるほど音を聞くとはっきりしたメリハリのある音が鳴っている。指揮者は小沢の弟子筋の英国人のジャスティン・ブラウンという人でもう既に10年も音楽監督を務めている。余程次の就職先がないのかどうかは知らないが、確かに座付楽団にしてはしゃっきと鳴ってるようにも聞こえる。指揮の技術はそこそこあるのだろう。東京の現音楽監督大野氏が振っていた時にも聞きに行ったことがあるが、当時よりもメリハリがあっても、良く聞くと大雑把な感じがしていて、総合的にはそれほど変わっていないとも思う。アングロサクソン系のノットとかあのあたりの指揮者の特徴にも似ているのだろうか。謂わば東京の国立劇場とどっこいどっこいの劇場だと思うがどうだろう? そしてガラ公演の日として同じ制作でカスリーン・フォスターがヴィースバーデンから客演するらしい。もう一人は何とアグネス・バルツァである。まだ歌っていたとは知らなかった。その意味からエディト・グルベローバまだ陽が当たるところで活躍しているだけ ― あまりにお呼びが掛からないとミュンヘンに苦情していたぐらい黙っていない ―、流石に二人の間には差がある。何か写真もブロンドに染めていて昔の面影がない。これ以上触れると侮辱になりそうだから書かないが、音程のだら下がりの歌手や昔の名前の人に余分に金を出す人がいるのだろうか?これならば市立劇場のマンハイムの方がいざとなると大物が来る。と思って見ると4月7日にはカムペが「フィデリオ」を歌うらしい。価格を見ると42から103ユーロである。交通費入れてもその金額を出すぐらいならミュンヘンに行くべきだろう。勿論宿泊費までの差額は出ない。それでもA級州立歌劇場程度とは付き合っていられない。ハムブルクは流石に違った。そしてミュンヘンの243ユーロというのは自由市場価格として正しいのだろう。 しかしカールツルーへのバーディシェシュターツオパーの方は、なんと二年前にヴィーンでしか上映されなかったユヴァ―ル・シャローンのアニメを使った「賢い女狐」を上演している。ルクセムブルクまで二時間かけて行ってクリーヴランド管弦楽団でそれのアニメ無しのコンサート形式を聴いたのだが、アニメが心残りとなっていた。反面、ラトル指揮のベルリンのフィルハーモニーカー演奏とは比較にならないような上質の演奏を聴いたので、今更三流の音楽は「お耳汚し」になるだけだ。救いはドイツ語上演なのでニュアンスも大分変わり、不愉快になることはないと思う。日程などを見ていると、行けそうな日があって、調整卓の横で10ユーロの席に出かけることにした。なんといっても五十分でドアーツードアーで観れると思っていなかったアニメを体験できる。ノイズキャンセルで耳栓をしてみるわけにもいかないが、この価格なら少なくとも映画に行くつもりでと思って券を買っておいた。屋根の下で、視覚さえよければ文句がない。どれほどのワイド画面を体験可能か?音は隣で卓の空冷ファンが回っているぐらいが丁度よい。と言いながら音楽監督の腕も現在の管弦楽の程度もしかと見極めてくる。昨年のマンハイムよりもいいかどうか? 20時になって放送を聞こうと準備していたら、アメリカの放送局からティーレマン指揮のドイツェオパーベルリンでシュトラウスの前奏曲が流れてきた。芋のごった煮のような音を出していて強弱をつけたり何かしているようなのだがガタガタになっている。座付管弦楽団だからという程度ではない。あの程度の指揮者が「影の無い女」を振ったら何が何だか分からなくなるだろう。放送局も節操のないことをする。と思ってシノポリ指揮の放送管弦楽団を聞いていたら、二重リズムどころか初めからはっきりしない。最後までそのような感じでよくあれで最後まで演奏できたと思う。同じホールでのシュターツカペレドレスデンの第六も総奏になると濁っていて、あれは楽団の限界だと思っていたが、やはり指揮者の技術的な問題だったと理解した。それにしてもひどい演奏をしていたもので、昨年のボストンでネルソンズが指揮したものとは月と鼈だ。この二十年近くで指揮の世界に何が起こったか知らないが、二十年ほど前には室内楽の感覚では決して管弦楽の演奏精度を吟味できなかったが、今は超一流クラスの指揮者が超一流管弦楽団を振れば全く精度が違ってきている。 参照: 音楽劇場の社会的な意味 2019-01-28 | 文化一般 オペラとはこうしたもの 2018-11-12 | 文化一般 細い筆先のエアーポケット 2017-11-03 | 音
by pfaelzerwein
| 2019-01-29 21:26
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