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クラシックな社会層

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ヴェルビエールからの生中継を流した。今最も人気の高そうなエベーヌ四重奏団の演奏を初めて観た。既に来年のベートーヴェンマラソンの券を入手したが、まだ聴いたことも無かった。五重奏の演奏だったので、四重奏団としての実力は分からなかったが、映像だけに色々分かるところもあった。先ずはモーツェルト一楽章でチャラチャラと弾いていたので、なるほど名前の通りのアンサムブルだと思っていたら、そのあと奏法も変えてきていた。器用な人たちの様でなるほど多様に対応する柔軟性も人気の秘密なのかなと思った。しかし、後半の「フロレンスからの土産」も含めて、ベートーヴェンの四重奏曲を弾き切る四重奏団ではないと思った。共演するベルチャの方が名前からしてそれだけの表現力はあるような感じがしたが、実際のところは分からない。券が売り切れるだけの四重奏曲への入門を容易にする器量はあることを確認したが、人気程の実力でもないのも分かった。少なくとも弦楽四重奏をよく知っている層には飛びつくだけの魅力は無い。まあ、とにかく齧り付きで四曲づつ生で聴く価値はあるだろう。細かな技術的なところも判断できると思うが、ベートーヴェンの解釈に関しては端から期待しない。

マウスの電池が切れかかった。赤信号が出てからでも二三日使えている。ロジテックが保証している低エネルギー消費は証明されて、二年半ほども単三で使える。キーボードも数週間前に代えたところで、こちらは初めての交換かもしれない。否、2013年6月購入であるから、二回目とすると、三年使えることになる。その通りだ。つまり、次回の交換は2022年6月ごろとなる。マウスの方は2022年冬まで持つかどうかだ。大したものである。非接触型の発光装置の節電技術に違いない。キーボードもマウスもそれまでつまり十年近くはもちそうだ。前世紀には私たちの時代には益々科学技術的な発展が鈍化してと言われていたので、今のような工業技術の発展は予想されていなかった。しかしこの十年ほどで大きく変化している。

そのデジタルの発展の音楽的な社会影響に関して、スイスのベックメッサーことニフラー氏が新聞に記事を書いている。イタリアでのデジタル化時代のその活動の大歌劇場の将来の担当者などが集ったセミナーからの報告である。そして基本情報として、英国でのアンケートから、18歳から25歳の青少年の過半数が最も愛しているのは管弦楽団のクラシックサウンドだという驚くべき回答結果が発表されて、その背景を予想するとゲームソフトにおける音楽だというのである。それどころか14歳から34歳のメディアを利用する層では二割がクラシック音楽に興味を持っていると回答している。その多くはインスタグラムのプロダクションクリップのようである。

また送り出し側では、九割以上が何らかのデジタルライヴ制作をしていて、オンライン、TV、映画館への中継が含まれているというのが英国事情のようだ。過半数がクリップとして、五分一がライヴ配信をしているらしい。

そもそもハイカルチャーをものとしているドイツでの需要社会層は小さく、それでも百五十年前の十倍規模になっていても、社会全体の7%から10%の少数派に留まる。しかし、デジタル情報のグローバル化でその数は世界で一億人が欧州のクラシック音楽に関心を持っているという事になる。

今話題の新制作「イドメネオ」のセラーズが訴えかけているのはこうした人々に対しての制作であり、まさしくクレンツィスを使ってソニーはこの層の市場を開拓しようとした。プロジェクトの背景はそこにあり、我々ハイカルチャーに興味がある者にも同時に働掛けようとするには所詮無理がある。私はむしろ、来月ブランデンブルク門でのオープンエアーでの本物のベートーヴェンの音楽の力に期待したい。嘗てはセラーズこそが、そのもの通常よりも少し難しいところへと聴衆の意識を啓こうとしたのではないか。



参照:
無線マウス二年半の実力 2015-11-28 | 雑感
無視にしか価しないもの 2019-07-29 | マスメディア批評
ドルトムントに電話する 2019-05-17 | 生活
by pfaelzerwein | 2019-07-31 02:40 | 文化一般 | Trackback
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