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緑の谷に佇む山の気質

リカルド・カシンという登山家は、1909年生まれながら今も健在である。登山用具のカシン型カラビナやピトンの製品が示すように、鉄の時代といわれたアルピニズムの伝説上の人物でもある。

大阪梅田にやって来てハンディーカムを丸ビルに向って回していたのは80年代だろう。来年、先来年には、またお祝いの式典が開かれる。彼のグランジョラス北壁ウォーカー稜初登攀、ラヴァレド峰東壁初登攀にならぶ初登攀したピッツォ・バディレの麓では今からその準備が進んでいる。

コモ湖からこの地方にやって来て様々な試みを行なったに違いない。その土地に行くと、谷から頂稜までが一続きとなっているのを知ると、誰もが試みようとするのは明白である。

こうした谷の環境が、アルピニズムの一角を支えていたのを体で感ずることが出来るのである。ドロミテ渓谷の石灰岩の柱状岩壁の凄みはないが、花崗岩の硬い摂理が天へと登る光景は人の心を誘う。

そしてこれらの土地でこの偉大なアルピニストの100歳を祝う準備が粛々と進んでいるのみるのは土地の文化としてそれが息づいていることを示していることでもある。

食前酒を飲みながら、ロビーでTVを観る。逝去したルチアーノ・パバロッティの特番であった。ホテルの親仁も一部始終を観ていた。世界で最も有名な人物であるベルカント歌手は国民的な英雄でもあるのだが、イタリア語の歌は文化に深く根付いていることをも知れるのである。

旅行者が頻繁に行き交い、ローマ人の街道からもそれほど遠くない山間部にひっそりと佇む文化が存在するのである。



参照:あの人は今 リカルド・カシン(月山で2時間もたない男とはつきあうな!)
by pfaelzerwein | 2007-09-17 05:54 | 文化一般 | Trackback
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