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白い的へと距離を測る

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芸術家で弓道名人のアイヒャー氏の道場を初めてお訪ねした。日置流の四段の道場主を筆頭に40人規模の道場である。

先ず驚くのが赤塗りの門構えであるが、それよりも射的場の雰囲気が良い。三十三軒堂のみならず明治神宮などをイメージして設置されている。

的の上の瓦や屋根はドイツの古い家を使ったという。そして付随の建造物なども趣がある。それが珍奇な日本趣味に陥らないのは、流石に芸術家としての見識で、それについては改めて記す。

全く弓道とは関係ないが、白い秋田犬を飼われていて、その色の珍しさのみならず、子供の時以来久しぶりに触れる秋田犬が嬉しかった。そのように犬には慣れているのだが、昨日の暗闇での散歩に続いて妙に犬に憑かれている。

葡萄の中を家路へ戻ろうとすると、向こうから車がワインの棚を照らして農道にぐいぐいと入って来た。今頃珍しく何事かなと思っていると、ライトが消えて暫らくすると、犬の鳴き声と飼い主の女性の声が聞こえてきた。そう思う間も無く、大型の犬が三匹、こちらに向って走ってくるのと同時に飼い主の静止の声が聞こえた。こちらも咳払いなどをして存在を示さないと皆目分からない暗闇であった。

そして犬たちは、二メートル以上の距離をおいてうなり出した。こちらは足元に絡まれて涎だらけにされるのが嫌なので、そうした犬の警戒態勢はむしろ歓迎なのである。何事も無い振りで真ん中を進む抜けると、飼い主の女性が「素晴らしい!」と絶賛してすれ違った。「そうでしょ」と言って何知らぬ顔で通り過ぎると犬の方が安心していたようであった。

そのような按配で通常は、あまり犬を触るのは億劫なのだが、なぜか狼に近い秋田犬に二回もぺろりと舐められても嫌な感じがしなかったどころか、こちらから撫でに行く気持ちになったのは、自身意外でたまらない。

やはり小さな犬よりも大きな犬、それも特定の種の個性に子供時分からの慣れがあるのだろう。雌犬の名前まで聞いてしまい、我ながら不覚であった。

さて、弓道についてはあまりにも奥が深く要約すら出来かねるが、氏は歴史的な背景のみならず技術や弓作りなど全てに造詣が深く、雑誌等に盛んに執筆されているようである。それどころか矢先を注文制作されて日本へも配給されていると言うから驚きである。

その背景に、芸術家としての美学的な考察や発想が寄与しているのは断わるまでもないだろう。




by pfaelzerwein | 2007-09-17 06:12 | 文化一般 | Trackback
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