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対人関係の社会計算説

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昨日の試飲百景を書いていて急に試飲を思い立った。朝からベートーヴェンの最後のピアノソナタ三部作を調べていたが、十日前から前からご近所の不在ために預かっている階段に置きっ放しにしてある大きな荷物が気になる。その東独出身の若いブロンド女性宅には、恐らく東独の博士号を持った勤め先が遠い中年男性が同棲して居り、しばしば子連れで訪れる。その女性が犬を連れて散歩するのを、ホ長調の作品109番をざっと見たあとに髭剃り中に見つける。呼びとめようかと思ったが遅かった。

三十分ほど窓辺で書類に目を通し戻ってくるのを待っていたが、一向に姿を見せない。それ以上窓辺にいる用事も終わったので、変イ長調作品110へと目を移す。そしてある程度目星がついた所で昼食とする。

その後も、昨日の記事をアップすると、今年は訪れていない醸造所のことが気になり出した。その理由は、この近辺一体に最も優れた地所を保持する醸造所だけに、今年になって設置された地所名を書きいれた区画を示すポストが散歩するときに大変目立ち、その昔の権勢が急に蘇ったような印象を与えていたからだろう。

そのグランクリュの多くの地所は毎日の散歩道でもある。夕方五時には店仕舞いとあるので、四時過ぎに散歩に歩く靴をトランクに入れて向う。予想に反して、試飲質はひっきりなしに人が尋ねてきて、シーズン終りにしては大変盛況である。適当に混んでいる時を狙って、もし買うものがなくても試飲無しになにかを取ってこようとしていた思惑が外れた。そして略二時間に渡る試飲を終えて、葡萄畑の中に車を止めると既に六時半であった。

そこにも暖かな日曜日の有終を飾る散歩の人々がチラホラと、色づいた景色を飾っていた。結局三十分ほど一回りをして戻ってくると、流石に暮れてきていた。家に戻り、早速ワインを蔵に仕舞い落ち着いて、髭剃り器の洗浄充電などを整えていると、子供連れで犬を連れた彼女と旦那が暗闇に見えて、高い窓から顔を出して声をかけた。

早速、彼女が取りに来たが、重くはない大きな箱を抱えて階下まで持っていくと、恐縮して、「荷物の伝言を見なかったか」と何気無しに尋ねると尚一層、申し訳ないと先週は取りにこれなかったことをまるで日本人のように説明し出した。

そして、階下の玄関まで開けさせて荷物を渡した。ただそれだけのことであるのだが、以前の車の番号や言葉つきから中部ドイツのチューリンゲン南部地方の人であると思っている。そして、なぜかあの地方の人あたりと言うようなものを感じた。旦那の社交下手と言うか、そこに一種の自由社会の人種を恐れているような、管理された共産圏社会出身の人種を見ている。

もしかすると、資本主義社会の我々人種の方が様々な商売がそこここに成り立っていて、管理された人種とは違う独自の社会関係を成立させているのを気がつかずに生活しているだけかもしれない。

写真:秋のランゲンモルゲン
by pfaelzerwein | 2007-10-09 09:45 | | Trackback
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