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熱い猜疑心の過熱と着火

ここ暫らくの新聞記事などじっくり読んで整理したいものが多い。ルートヴィヒスハーフェンでのトルコ人火事焼死も第一報から社会問題化する気配はあったが、外交問題となったのには驚いた。

昨日曜日の市内の火事で、死者九人は激しい空爆を受けた約二十五万人を誇る同市内での戦後最悪の火事となった。当日は家の前をカーニヴァルの行進が通るので招かれた客人を含めて通常以上の人間が建造物にいたようで被害を大きくしたらしい。

住人である二人の子供の目撃や前々からの脅迫電話を伝える情報もあることから、極右の狂人の放火の疑いも持たれ、大問題となったゾーリンゲンでのトルコ人焼き打ちの事件と重ねられた過熱報道がトルコ国内で反独感情に火をつけたようだ。

そしてそれが地元のトルコ人社会にも飛び火して、サボタージュをしたとされる有志消防団までが危険に曝されて、警察の護衛を受けたとされる。

現場にやって来たトルコ政府エルドアン首相は、トルコの大学での女子学生の頭巾を認めるなどの内政問題を抱えており、余計にこの事件を政治問題化したがっていると言われている。ルートヴィクスハーフェンにて、「我々は双方とも一神教を信ずる」と今後の友好関係を強調するのが今のアンカラの政治姿勢を示唆している。

さらに、ヘッセン首相ローラント・コッホの選挙前の移民に対する問題発言は、本来は政敵であるラインラントプファルツ首相SPD代表のクルト・ベックの「早期の事故判定」をも外交問題とする国際状況を醸し出したようである。

特にYOUTUBEで観られるような救助消火作業のサボタージュ指摘は、その実状よりも政治的な煽りが前面に出ているようで、ここにもアンカラの問題が映しだされているようにしか見えない。

消防救助活動における実際の初動活動の遅れはなんとも言えないが、その時刻からしてカーニヴァルに待機していた者が殆どであろうし、態々遅れて活動に入る状況などは考えられない。更に映像を見る限り、アマチュアが初期のものを映したものは皆無で、一挙に下階からの炎が上階を包んでいる様子で、既に火事が認知された時点で火が廻っていたのは頷ける。

階段が焼け落ちて、三四分試みたと言う中からの救助作業が出来なかったとするのも、木造の階段であれば納得出来る。しかし、昼間に突然これほど火の手が挙がったのは、ガスや油などの発火しか考えられないので、原因は建造物全体の倒壊の危機が避けられてから解明されるだろう。

それにしても、トルコの恐らく近親者などの様子を映す映像を見ると、放火されて見殺しにされたと信じた様子を伝えるトルコのメディアの報道の過熱が強く窺える。

米国の同盟関係にあるトルコのこうした様々な映像を観るだけで、如何に米国風民主主義や西欧社会主義風民主主義がこれらの諸国に容易に根付く可能性が殆ど無いことが知れるのではないだろうか?

因みに犠牲になった家族らは、イスラム・アレフ派に属し、これはドイツ国内で八十万人居るとされるリベラルな信仰グループでトルコ本国では正式に認められていない。つまり、今回急遽放送中止になったSWRのTV事件簿で取り上げられるような、リベラルな二世と狂信的な本国からお迎えされたトルコ人妻などの家庭にしばしば起きる、アジア的不条理の世界での家族不和による近親殺害や家族心中などとはあまり関係ないようである。それだからこそカーニヴァルの行列を高みの見物としようとして客人を集めて楽しみにしていたのかと思うと、犠牲者をはじめ被災者には大変お気の毒でもあり、原因究明が待たれる。



参照:
Ludwigshafen - 9 Tote bei Hausbrand
Ludwigshafen - 9 Tote bei Hausbrand 2
Großbrand in Ludwigshafen
Neun Tote bei Brand in Ludwigshafen am 3.02.08
Ludwigshafen - Almanya'daki yangın - Erdoğan
Ludwigshafen - Almanya'daki yangın -ikinci Solingen vakasi mi
Ludwigshafen - Almanya`da ölen ailenin ardinda kalanlar
ブレッツェルピーの脚質 [ 生活 ] / 2008-02-07
ドイツ語単語の履修義務 [ 女 ] / 2007-07-16
文化に見合った法秩序 [ 文化一般 ] / 2007-07-06
法に於ける信教の自由 [ 歴史・時事 ] / 2007-06-23
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鮨に食い尽くされた鮪 [ アウトドーア・環境 ] / 2006-08-27
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by pfaelzerwein | 2008-02-09 03:26 | マスメディア批評 | Trackback
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