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格差是正への熱い圧力

先日ある会合でケーラー大統領を褒める者がいた。選出時の政治的な不信感に関わらず思いのほか良い大統領になったと言う意見であった。ここでもエリート教育問題を移民問題に絡めてそのインタヴューを紹介した。

そして今週も様々な時事問題がニュースとして流れた。コソヴォ独立やトルコのイラク侵攻などは限定的とは言え世界情勢をよく示しているようにも思える。

相変わらず、新聞の片隅にはHASS(嫌悪)と大書きされたトルコ人住居の不審火などが小さく報じられている一方、先日のルートヴィヒスハーフェンでの調査結果が来週にでも発表されるようである。

もし、政治的な放火が確認されれば、一大政治問題となり、ドイツ社会が新たに熱せられるに違いない。ゾーリンゲンでの放火事件の際も市民によるキャンドルの輪などがこの町でも呼び掛けられたが、今回は近隣のことであり、「犯人探し」と共に前回以上の運動にならなければ不思議なのである。勿論当時の社会状況とは打って変わって、こうした反社会的な行動が政治的な基盤となる様相は皆無なので、その「本当の犯人」を追求するのはむしろ困難を極め、市民の態度も自らに働きかけるよりもトルコ系市民等との連帯を示唆して、最終的にはヘッセンで下されたような政治的な判断を示すしかないであろう。結果を固唾を飲んでいると言っても良いかもしれない。

最も新しい政治意識調査では、左派党の躍進が引き続き確認されて、東ドイツでは30%と堂々の第一党となっている。更に、ヘッセンの選挙などで確認されたように西ドイツでも社会の不公平是正を訴えたその声は強く受け止められて、8%と勃興している。

連邦共和国全体でも第三党を狙う勢いで得票率11%辺りを自由党FDPと争そっている。それに引き換え28%と伝統的国民政党社会民主党SPDの凋落傾向は止まらず、シュレーダー政権でその伝統に終止符を打ったような感すらある。その理論的な政策も実際の支持組織も双方とも時代遅れの感さえあって、EU内で共通しているように見えるがどうだろう。

ヘッセン州議会も再選挙の可能性もある不安定な政治地図は、総合して左翼勢力の増大とキリスト教民主連合の国民政党としての貧弱さから、今後とも当分は選挙の度に繰り返される様相となりそうである。

G8などで国際ファンドの規制などが協議されていてもその効果が表れないうちは現在の左派党の躍進は止まらず、強い野党として立場を誇示するように思われる。それほどに、グローバリスムの新自由主義は嫌悪されているに関わらず、未だに効果ある政策や秩序を取り返せない保守政党は、今後メルケル首相が候補の時のように再び左派と対決する形で自由経済主義を謳うのは不可能に思われるがどうであろう。その分、自由党が今後も支持を拡大させそうである。

反対に、35%の得票率のキリスト教民主同盟CDUが「真ん中」に位置して、国民政党として政権をになうためには、現在のベルリンの大連合下のメルケル首相が行うような舵取りが今後とも要求されそうである。要するに自由党よりは遥かに社会主義を貫いて行く必要が生じる。その場合、外交的にはパートナーであるバイエルンのキリスト教社会同盟やローラント・コッホのような発想は押さえていかなければ、広い支持層を獲得出来ないに違いない。

そのような意味合いからもSPDは、先ずは左派党との間の境界線を整えて差別化しなければいけなく、現在の大連立第二党の立場ではあまりにも困難でしかないだろう。



参照:
Die Sogwirkung der Linkspartei, Professor Renate Köcher
得票率グラフ表示, FAZ vom 20.2.2008
脱思想・脱原発・脱体制 [ 歴史・時事 ] / 2008-01-29
ローランド・コッホ負ける [ 生活 ] / 2008-01-28
反面教師にみる立ち位置 [ 歴史・時事 ] / 2008-02-13
保守的な社会民主主義 [ 歴史・時事 ] / 2007-11-13
by pfaelzerwein | 2008-02-23 02:35 | 雑感 | Trackback
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