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趣味の良い贈答品とは

兼好法師の徒然草を紐解く。なんてことはない、贈り物の趣などについて、何か書いていたような気がしたからだ。

先ず索引から出てくるのは、「友とするに悪き者」の下りで有名な百十七段である。

「よき友、三つあり。一つには、物くるゝ友。二つには医師。三つには、智恵ある友。」とある。

なるほど貰いっ放しならば、それを拒むものは居ないだろうが、なかなかそうは行かない。しかし、三つ目の智恵まで読むと、もしかすると含蓄のある認識かも知れない。

しかし、どちらかと云えば、探しているのはその趣であって、心遣いとかであって贈り主の人物像ではない。

逆説的に趣味の悪さを論ったものでは、七十二段の「賤しげなる物」ある。

賤しげなる物、居たるあたりに調度の多き。硯に筆の多き。持仏堂に仏の多き。前栽に石・草木の多き。家の内に子孫の多き。人にあひて詞の多き。願文に作善多く書き載せたる。
多くて見苦しからぬは、文車の文。塵塚の塵。

趣味の悪さは、そこに表れているが、趣味の良さは、見苦しくない積読の書でも塵でもなかろう。百三十一段には、「貧しき者は、財をもッて礼とし、老いたる者は、力をもッて礼とす。己が分を知りて、及ばざる時は速かに止むを、智といふべし。 」のようにある。

これらを総合すると、趣味の良い贈り物とは瀟洒な値の張らない智恵が感じられる物となるのだろうか。
by pfaelzerwein | 2008-06-27 06:12 | 雑感 | Trackback
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