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神の手に手を出すな!

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心理的な荒廃は思いのほか進んでいる。オペル救済問題は、先週のワシントンでのG20でまでメルケル首相が持ち出した話題であり、殆ど政治的修羅場となって来ている。その歴史的な背景については何度もここに書き連ねている。

歴史ある大建築会社をゲルハルト・シュレーダーが夜中のフランクフルトにやってきて救済したその会社は今はない。シュレーダーのそうした介入こそ批判の対象なのである。

そしてGMが倒産しても、アダム・オペルは存続すべきなどという声がドイツでは叫ばれるようになって来ている。メルケル首相は、クリスマスまでに判断を下すと言っているが、それまでGMは存在する事はないということであろうか?現在は欧州GMの統帥であるフォルスター氏がオペルの社長時代に幾らかは品質向上が図られたが、もう一つのドイツ自動車会社が必要とは誰も思わない。

現在従事しているオペルのエンジニーア七千人がGM傘下のサーブやシボレーの小中自動車を開発して、グループ内の研究機関として重要な一役を担ってきたのであるが、ドイツにおいて彼らの新就職先すら保障されないだろう。優秀な人材はもはやオペルやGMなどには少ないに違いない。

今や世界に車は満ち溢れている。石油を使わない移動手段ならまだ市場は大きいが、さもなければ今や過剰している。現在滞在中の友人は、よいワインを買ったのだが、買物が趣味の彼は金を出せば楽しめると考えている大馬鹿者のようだ。如何に日本人の感覚が荒廃して来ているかがこれで知れる。彼は、殆どバブル期には海外にいたのだが、それでもその後にそのような荒廃が進んで今や殆どゾンビとなってしまっているとは思わなかった。

金を出せばなるほど程ほどのものが買えるが、実際にその価値があるのか分からずに消費している事が罪なのである。そういう人間こそが、一体どれだけの価値かも分からずに時間を惜しんで働いているのは、そのゾンビ的な性格から当然であるだろう。ゾンビは疲れを知らない。ゾンビによって実の無い価値が生み出されてゾンビのための市場が出来てゾンビから実質経済は弾き出される。そして、何も何十万人も配下に置くマネージャーでなくとも、ゾンビ集団は隣人を次々とゾンビにしていく。そして町中はゾンビが蔓延して、自らがゾンビになっていることにも気がつかない。

日本国の景気対策に国内消費などというが、FAZ経済面が伝えるように未だにリベラリズムの古着をしっかり羽織っているという有様だ。道路一つまともに作れず、狭い場所に電柱建て益々太い電線を這わせて、何一つ経済高成長時代に社会資本を充実させられなかった三流国である。その生活環境や政治家がだけが三流なのではない、その文化がそれを支えている国民が三流なのである。

オペルが潰れると、関係する車部品会社やソフトウェアーなどの関連会社は連動して倒産して行くと予想されている。そのような事が判っているならば、無駄な一千億円を銀行からオペルに融通させるような ― つまり来年の選挙にて労働者や地域産業から賛辞を期待するような ― 政策よりも、むしろ失業や再雇用の制度にその資金を使うべきである。



参照:
2005年選挙投票前予想 [ 歴史・時事 ] / 2005-09-18
架空のクラフトマンシップ [ テクニック ] / 2005-01-13
自宅よりも快適な車内 [ 文学・思想 ] / 2005-02-04
覚醒の後の戦慄 [ 歴史・時事 ] / 2005-10-15
マイン河畔の知識人の20世紀 [ 文学・思想 ] / 2005-02-04
ど真ん中にいる公平な私 [ 女 ] / 2007-12-04
滅多にやりませんが (Mani_Mani)
Externer Schock von Patrick Welter, FAZ vom 18.11.2008
by pfaelzerwein | 2008-11-19 00:39 | 生活 | Trackback
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