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歴史を導くプロパガンダ

ネットで見る限り、日本は一大軍事ショーと戦争ごっこに湧きかえっているようだ。首相がTVの前に出て来ると言うからには、元々ロケットの一部が日本の領土に近づいて来る確率は、それを撃ち落とす確率よりも遥かに低いのだろう。さもなければ、あれだけの税金を投資しておきながら技術的に難しい迎撃に対して自信を持って総選挙へ向けたプロパガンダなど出来る訳がない。とんだ茶番劇ではないのだろうか?麻生の二段ロケットとはこれだったのだろう。それでは一体三段目はなになのか?

明日の討論会の準備をしている。今週から封切になった映画「ジョン・ラーべ」上映に伴うそれの事である。最近は映画館づいているので、先行して独日協会においても情報を流しておいたのだが、結局皆が言うような胡散臭いハイデルベルク「ラーべ記念館」の婦人科医ラーべ教授にも連絡を取る事もなく、マチネーに挑みたいと思っている。足かせとなるイデオロギーとかわらない下手な先入観念は持つまい。

最近はすっかりと影を潜める修正主義の衒学風研究者の論拠と資料に目を通す。その資料とやらの偽造などでその言い分が瓦解したとかある。しかし、南京で起った事件は、極一般的にありえる軍事行動に伴う蛮行であって、なにもベトナム戦争へ遡るまでもなくイラクにおいてもどのように民間人が襲われたかを見ればなにも驚くにあたらない。寧ろ、そうした進駐先ではなく沖縄での大日本帝国陸軍の島民への蛮行の方が興味深い。清潔で統制のとれた軍事行動などを夢想する輩も少なくないようだが、所詮軍族などはそうしたものである。

その点、中国で生き仏と呼ばれるジョン・ラーべなど民間人の場合は複雑で、その行動様式は、シンドラーの場合などのように個人に帰するものではなくて、全く党派や社会に帰するものでありそうだ。ラーべの日記を纏めて「南京の真実」として出版したのが日本で育った人気TVアナウンサーで、ギュウンター・グラスの友人であるウルリッヒ・ヴィッケルトの父親であり、ナチスの政策を押し奨めるために日本に滞在したあと、再び北京のドイツ連邦共和国大使になっているその人だと初めて知った。

ラーべがナチスドイツの命を受けてジーメンスの支配人として南京で活動していた訳で、その企業体と中共政府との付き合いは現在まで滞ることなく続いていることは周知の事実である。バイエルンのシュトラウス首相と中共との親密な付き合いや、シュレーダー時代におけるトランスラピッドの貸与など、一筋縄ではいかぬ賄賂攻勢で大スキャンダルとなったジーメンス社の社風と言える裏事情を髣髴させてくれるのである。今回の映画制作も、恐らく上海での撮影に有形無形に援助の手を差し伸べた中共政府からかなりの圧力がかかったと言われるが、結局肝心の部分は描かれずにハリウッド製作のドイツ映画として評判は悪そうである。

南京で起った事象については色々と印象は持っているが、先ずは映画を観て、ディスカッションの方向をみてから、見解や今後の対応について考えてみたい。少なくとも「良いナチ」評価への動きは見逃さないつもりだ。



参照:
ポストモダンの貸借対照表 2005-09-02 | 歴史・時事
美しい国は何処に? 2006-10-01 | 雑感
社会不安を煽りたい麻生 2009-02-12 | マスメディア批評
2009年度が始って2日目 (日々雑録 または 魔法の竪琴)
by pfaelzerwein | 2009-04-05 00:29 | 歴史・時事 | Trackback
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