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情報の洪水を汲み尽くす阿呆

ジョン・ラーベとその最新映画の評価はとても難しい。ドイツでの「その問題」は、相対化可能な南京虐殺の真実とかそう言った極東での単純な問題では済まなそうである。一方、上映へのネット署名活動や話題に上る僅かな反響に、日本における情報がマスメディアや似非文化人学者らの影響を強く受けているかが如実に表れている。

麻生による空前の景気刺激案がフランクフルターアルゲマイネ新聞の経済欄の第一面を飾っている。その詳細をここで紹介する必要などさらさらないが、「真水」と題する小さなコラムだけでも扱っておこう。

日本人が真水と呼ぶ政府が直接財政にて支出する刺激策はただの一部であって、その大部分は赤字国債などが割り当てられるものであると述べ、真水という概念は財政の健全さを繕うのに幾らか寄与しているというのだ。巨額な経済刺激策で以って選挙に挑もうとする麻生太郎首相は、その真水効果をもはや汲み尽した。麻生は、だから税制改革を施し、高い消費税を以って財政赤字を押さえ込むと宣言した。経済を不景気から救うことが前提条件として有効となる。そして、将来的に増加する高税への見通しが日本人に重く圧し掛かり、その消費を押さえ込む。同時に、力強い財政赤字の増加は既に長期金利を押し上げている。政府の財政支出の麻薬は、経済成長の底力を強化するにはあまりにも貢献しない。財政負担の井戸から真水らしきものを汲み上げ尽くす者は、「回復」をも洗い流してしまうだ。

ロンドンにてメルケルドイツ首相を批判した麻生首相であるが、経済的なその根本を悔い改めないかぎり同じ事を繰り返すだけである。得をするのは一体誰なのか、考えてみれば明快である。

それからすると、商業主義から一般消費者やさらに専門家と呼ばれる人々を目覚めさせることが如何にに難しいかが分かるだろう。宣伝、評価などがマスメディアに載せられて、僻地へと流れ着くとき恐ろしくそれは実態とは打って変わって変貌している。

既に流通機構にのって商品としてが扱われる時点で商業主義の悪弊から逃れることは難しい。現在のようなネットによる直接な情報が行き来する社会においても辺境の市場においてはその独自の言語とか文化の壁によって、商業主義の影響が極端な方向へと歪められて突出することが少なくない。消費や市場や言論の自由とか宣輩に限って、実は資本経済主義という井戸の中の蛙状態でその自由を知らないのである。その情報の洪水の中で幾ら真水を見極めようともがいても致し方ない。



参照:
Mamizu, Patrick Welter, FAZ vom 11.04.2009
40兆の国債発行と使途も問題にしない高学歴低脳大国 (ザ大衆食つまみぐい)
海外旅行 (虹コンのサウダージ日記)
フランケンのソーヴィニョン (新・緑家のリースリング日記)
ドイツワインガイドの最高峰 ゴーミヨ2009到着! (おいしいワイン見つけた!!)
知性に劣る民を卑下する美徳 2009-04-06 | マスメディア批評
歴史を導くプロパガンダ 2009-04-05 | 歴史・時事」
宵越しの金は持たないと嘯く 2009-04-03 | 歴史・時事
by pfaelzerwein | 2009-04-12 21:09 | マスメディア批評 | Trackback
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