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同じ側の人と錯覚する民

麻生首相のFAZ単独インタヴューを読んだ。自民党長期政権の幕引き役として、世継ぎ政治家の代表として、世間の厳しい目を浴びる政治家として、小泉に比べても比較的登場回数の多い日本の政治家である。恐らく取り巻きに旧在独大使などの外交官が少なくないのであろう。

それは、漫画知能の大人と呼ばれ言葉を知らない筈の麻生太郎が大変立派過ぎるインタヴューをこなしている事で確信した。一部の隙もない受け応えである。この政治家はあまり知らないので何とも言えないが、日本での一般の報道に見る漫画馬鹿とは大分違う。

FAZにおいて、大事件を、特に外交問題や世界的な災いを舞台として、なんとか敗戦決定ムードの自由民主党を救うスタンドプレーをしたい首相とされているが、それを今回は北鮮への制裁を軸に展開しているのを紹介している。G8のイタリア参加後の解散を眼中にいれての内外へ向けての日本の指導的な立場と麻生の指導的な立場を示すべくこの機会が慎重に選ばれたのはよく理解出来る。

更に常任理事国入りを目指すドイツ連邦共和国や日本の立場を代弁するような形式が取られているので、このインタヴューの骨子を書いたのは一体誰だろうかと訝るほど優れているのである。FAZの第二面の大半を飾る価値ある内容である。

その中でも、先日来日本の報道にて話題となっていた好戦的な態度は過不足無く示されていて、まさに地声の響きとその内容は全く矛盾していない。

要するに、予防的な先制攻撃行使する訳ではないが、あらゆる手を打った後に危険性があれば、攻撃も辞さないと言う個別的自衛権の拡大解釈の可能性を憲法九条の下で「目には目を」の大変「外交的な発言」をしている。同時に自衛隊にはそうした攻撃的な軍事力はないので、日米安保条約の範疇においての役割分担として集団的防衛権に一歩踏み出すような発言は見逃せない。新聞が語るように、なにも日本共産党だけでなく、リベラルなパシフィストにとって聞き捨てならないであろう。

他の記事で大阪府橋本知事の写真を使って、民主党の鳩山帝国を含む世襲政治家やら特権小階級への国民の批判の声の圧力の増大にも触れているが、ああした政治家が幾ら国土の防衛や国民経済の繁栄と言っても誰も信じるものはいまい。

13兆円とは言えないでもセメント会社よりも価値のあるものをスイスなどに持ち出し例え祖国がどのようになろうとも何一つ堪えない階級が為政者であるのは、選挙民を欺いているとしか言えないであろう。政権交代は、麻生首相が言うように決して目的ではないのである。

同じような顔をして、同じ言語使って漫画を愛好していても、たとえ皇室の縁組をしていても、決して同じ側の人間であると中産階級は錯覚してはいけない。



参照:
Jetzt ist Zeit für Druck auf Nordkorea, Im Gespräch mit Taro Aso, FAZ vom 12.06.09
Aso schöpft neue Zuversicht, von Petra Kolomko, FAZ vom 14.05.09
Japans Politdynastien, von Petra Kolonko, FAZ vom 10.06.09
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