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by pfaelzerwein
| 2009-09-30 07:28
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![]() 先ずは醸造所見学コースを現オーナーのフォン・シューベルト博士の案内でみてまわる。特に興味深かったのは18世紀の修道所跡のそのナポレオン以降の世俗化した住居であり現在の庭の配置と共にそうした影響が垣間見られる屋敷であろう。醸造蔵も12世紀造と言われる古い苔むした部分もあり、耕地面積からすると十分過ぎる広さがあった。黒い苔の密生の見事さには恐れ入った。 天然酵母による発酵を心掛け、熟成させる木樽も自己の地所から切り出した材料で作り燻して、葡萄を喰う猪を狩って塩干しにするなど、スローフードそのものの農業を展開しているところから、懐古主義の道楽と見ていた。しかし、実際にオーナーに会ってみるとなかなか商売熱心なビジネスマンの印象を受け、見事に先入観を覆された。天然醸造に欠かせないバイオ農業に対しても微妙な態度を示したことと共に、これは素朴な農民や地主醸造所オーナーとは、教養も社会層も明らかに異なると思わせた。ドイツの醸造所経営者には珍しい企業経営者である。 本格的に試飲するのははじめてであったが、予想に違わず土壌がそのワインに出ていると同時に、天然酵母の醸造によって大分柔らかな印象を受け、それでも酵母臭も押さえられつつ、きりっとした辛口に仕上がっているのには感心した。 2008年産を中心に19種類のワインを試飲した中で掻い摘んで特記すると、新樽のピノブランは樽の味が出なくなるまでは木樽の味が出ていて全く駄目である。所謂フーダーと呼ばれる千リットルとバリックの二種類を試すというが、樽が古くるなるまではフランスの下手な白ワインのように樽味のワインを飲まされることになる。 この醸造所が保持している修道会の三ランクであるブルーダー、ヘーレン、アブツの三地所は、この醸造所が加盟していないVDP基準 ― 実際には政治力で禄でもない地所がグランクリュに指定されているのだが ― に当てはめると、アインツェルラーゲ、ピュリミエクリュ、グランクリュに相当すると見た。最後から二つが桃の香りを醸し出す赤スレート、グレープフルーツの香りの青スレートとその土壌が異なっているのだが、アプツベルクはモーゼル流域で三大主要地所に含まれるかもしれない。恐らくドイツ全部で十傑に入る力強さが確認出来た。 例えば、その評判を聞いていた2008年産アルテレーベンの豊満でありながら、崩れない辛口は、天然醸造のグランクリュとしてはトップクラスのものではないかと思われる。二年ほど待ってみたい。 それを証明するのが、2007年産のカビネットで、あとを引くスレートの苦味は冷え切った線路の鉄を飲むようなストレートさがハードボイルドですらある。これだけ引き締まったリースリングであるから、貝類や野鳥やレヴァーなどを合わせたいが白身の魚でも料理方法によってはとても合うに違いない。 現時点がモーゼル流域共通の2007年産未完熟な「青い果実」天然酵母醸造のカビネットとして恐らく第一の山であり、美味い時に飲み干すべきだろう。11%のアルコールとキュートなボディー感は、加糖しない限界であり、ミニスカートが似合うような、将来性よりもこれで良しとすべきリースリングである。カビネットとしては決して安くはないが、繊細さでも同価格帯のバッサーマンヨルダン醸造所のグライン・ヒューベルなどと比較できるものであり、寧ろそのグレープフルーツの苦味を取りされば、その鋼のような感じはレープホルツのカビネットを想像させる。なかなかこれだけ生一本のワインには出会えない。 因みにフォン・シューベルト家の歴史を見ると鉄道の敷設やザールランドでの鉱山など鉄と密接に関わって貴族名を名乗ることになる。実際ルーヴァーに敷いた鉄道で葡萄が運ばれたようだ。なるほどその五代目が企業家で、この味のリースリングを世界に売っているのも合点が行く。 追記:カビネット二日目には鳥のレヴァーパテと合わせた。苦味が消え最高の食事となった。しかしワインは一日で完全に丸くなっていた。瓶詰め三年以内に飲み干すべきリースリングである。酒躯がスレンダーで貧弱なだけに早飲みワインである。それでもこの味は唯一無二なので価格11.20ユーロは正当である。三日目にジュースの腐ったような味がしようが、酸の新鮮味が先十年あろうが、まともな熟成はしないだろう。葡萄の糖比重が低ければ偉大なワインとは決してならない。 参照: イヴェントとなった猪肉 2009-09-23 | 料理 たかが粘板岩されどスレート 2009-09-25 | ワイン 立ちはだかる一途な味覚 2009-09-27 | 試飲百景 フォン・シューベルト新酒試飲会2009 フォン・シューベルト新酒試飲会2008 (モーゼルだより) ドイツ旅行記2008年8月 (DTDな日々) von Schubert (Aus dem sonnigen Bonnertal) Gutsverwaltung von Schubert カランドリエにて 溜飲の下がる出来栄え 飲み頃は2022年頃? (新・緑家のリースリング日記) ▲
by pfaelzerwein
| 2009-09-29 11:15
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ドイツの総選挙は予想以上に自由党が躍進した。それゆえに今回投票締め切り直後の抜き打ち調査結果でもめることなくキリスト教民主同盟と社会同盟が自由党と連立する事で過半数を獲得して、政権交代が実現した。何よりも大連立が解消されて議会制民主主義の枠組みが護られたことを喜びたい。
因みに予想通り社会民主党は転落して、その支持層の多くが棄権に廻ったようで、過去最低に迫る投票率72%の低さであった。同様に注目したいのはバイエルンの政党キリスト教社会同盟が六パーセントと弱小政党となり、自由党の半数以下の支持しか得られなかったことから、新政権内では社会主義的政策は後退して自由主義的政策が強調されるに違いない。 その反面、左翼党が躍進して堂々第四の政党となり、同じく伸張した緑の党と共に合わせて社会民主党の議席数に迫る勢いである。そのような情勢においても厚顔のSPDシュタインマイヤー党首は最大野党党首としての意欲を示しているが、今後党内が一枚岩で推移するとは思われない。過激さを増すであろう国会論議の中で左右から板挟みとなれば、いよいよ左派党との合弁への動きや切り崩しなども激しさを増すのだろう。 いづれにしても第一党のキリスト教民主同盟も過去最悪の議席数に迫っていることから、これが二大政党制の終焉なのか、それとも大連立の余波なのかはなんとも言えないが、支持率一桁の少数政党はバイエルンの地方政党だけとなり支持率二桁の三中政党と支持率二十パーセント台の二大中政党の多政党時代へと踏み出した。 追伸:当独日協会の名誉会長ユットナー教授は返り咲きを果したようである。 参照: WAHL2009 (ARD) ▲
by pfaelzerwein
| 2009-09-28 05:19
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![]() その女性はハンブルクの貴族の娘さんのようだが東ドイツ出身なので本日開票される選挙における左翼党のポピュリズムに怒っていた、そして日本での自殺の多さが話題となった。これに関しては、ここでも繰り返し書いているように個人的に大変興味ある話題なのである。 さて中島氏の芸術を振り返る。「生」と題されたこのプロジェクトでは百枚の「生」の字が生にて次から次へと書かれていくのである。つまりその数は、日本で一日に自ら命を絶つ人の数に相当すると言うのである。それを五秒間に一つづつの早さで書き上げていく。その数は、世界中で子供が死んでいく早さなのである。 これをして私は「分かり易い」と表現した。何が分かり易いのか? 中島氏は、並べられた紙に左から右、右から左へと、思い思いにひとつとして同じではない文字を描いていく。そこには強くふてぶてしいものもあれば、細く神経質なものもある。ある時は霞み滲んで、ある時は血潮のように広がる。 それを発止発止と、または静かな祈りの如く書いていくのがパフォーマンスとなっている。そのライヴこそが「生」であるのだ。こうした判じ物は説明するにも一分ぐらいの時間を要する。しかし、そうして次から次へとかいていく流れは分かり易いのである。そして、各々が気に入った字を購入して持ち帰ればユニセフに寄付されるとなれば尚更分かり易いのである。 そこには、対象となるものが存在して、その意志が具体的な形で存在している。それは、既に紹介したジョイントライヴであったトム・バウマンの動的でありながら、否定の否定であるどうしても珍奇となり易い抽象とは相反するパフォーマンスなのである。謂わば、スパイヤードームの石を積み重ねたような実存がそこにある。 打上げの場において、こうしたパフォーマンスを受け入れる余地が何処にあるかという宇陀話となると、どうしてもカトリック社会における普遍的な包容と、プロテスタント社会におけるアンガージュマンへと集約されて来る。 中島氏は、万以上の数の「生」を大きな空間へと展示したいと語ったが、丸い穹窿にそれを放つのは容易ではないなどと考えて、安楽死を肯定するカルヴァン派の教会ならずスイスの木造の平屋根の教会などにそれが展示される様子を空想してみたりする。このプロジェクトの分かり易さは、そうした肯定的な意味でのザッハリッヒカイトでもあるのだろう。要するにバウマン氏のそれのような性的な肉体感を必要としない実存なのである。 参照: NAKAJIMA HIROYUKI (HP) プロジェクト 『生』/Speyer (中嶋宏行/おぼえがき) Tom Baumann (HP) 皿まで食えないほどの毒 2009-09-26 | 生活 ▲
by pfaelzerwein
| 2009-09-28 00:22
| 文化一般
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ナーへの谷深くにある町モンツィンゲンを訪ねた。ナーへ地方で一二と目されるシェーンレーバー醸造所を訪問するためである。一時半に待ち合わせであったのだが、ルーヴァーから中部モーゼルのヴェーレンへと戻り、そこでゾンネンウーアと呼ばれる地所を見学しているうちに予定よりも大きく時間が押した。結局、狭い谷筋のセンターラインのない道をカーヴで対向車にぶつかりそうになりながら醸造所に着いたのは二時前であった。
既に試飲は単純なグーツヴァインから始まって半甘口のシュペートレーゼに差し掛かっていた。それを置いておいて最初からはじめた。それは、この土地のグランクリュ地所であるフリューリングスプレッツヘンと呼ばれる周りのロートリーゲンデ土壌のリースリングである。 甘さを感じる香りに違い無く木イチゴのようなメロンパンのような甘さが分離して今一つすっきりしない。その次には、皆さんの意見を拝聴して、進んで行ったのだが、どれもこれも酸が表面に立ちはだかって細かなニュアンスはどこかへ追い遣られて仕舞っている。 ルーヴァーの辛口とラインガウのそれの中間ぐらいに位置していて、中部ライン地方の胃液を想像させる臭みは必ずしも快適ではない。ルーヴァーの美しくを尾を引く苦味でもなければ、ラインガウのようなニュアンス豊かな香りもないのだ。そこにあるのは立ちはだかる独特の酸で、人には薦められない。 なるほどもう一つのグランクリュの地所ハーレンベルクの薬草のスパイシーな味はなかなか面白かったが、そこまで来ると同じ辛口原理主義者レープホルツ醸造所のグランクリュの方が塩味が効いていて価格もかわらず寧ろ柔らかく旨味を感じる。 要するにこの醸造所だけでなくナーへのリースリングは、その酸で新鮮さは何時までも保たれるだろうが、時が経てば立つほど酢に近くなる代物で、熟成を楽しめるときは決して訪れない。 但し、最初の単純なリースリングにもその一途さは満ち溢れており、中途半端なワインではこの醸造所のリースリングの前には立ちはだかれないであろう。とは言っても、甘口の糖の分離した具合の悪さは致命的であり、七割方を辛口に捧げるこの醸造所の市場などは無視出来るに等しく、人に推薦できるようなワインではない。 さてこの単純なリースリングを何日にも分けて飲んだが、アルコールが抜けて酸化して気が抜けて様々な味が出て驚かされるのだが、そのような味覚はワインの味覚や熟成とはなんら関係無いのである。謂わば腐り掛けのジュースなのだ!だから、初日に食事を流すように邪魔にならない飲み方をするのがナーへのワインなのである。高いワインなどは必要ない。購入したワインはお得であり、その意味からこれは推薦できる。 兎に角、顧客リストに入れておいて貰ったので、今回は残念ながら外れ年であったが、2007年産ならばオルツヴァイン程度を大分買えただろうと想像して、しかし2009年産葡萄は既に腐りがはじまっており、何年かに一度訪れるである良年を待ちたいと思う。既にリストを見せると、その安く単純な高級ワインは人の関心を引いた。送らせても安く良いものが入る可能性がある。 参照: デンホフにしては平凡 洗練された見事な辛口 手堅く樹脂コルクを 自宅熟成のシェーンレーバー シェーンレーバー恐るべし カビネットにしてこのポテンシャル (新・緑家のリースリング日記) たかが粘板岩されどスレート 2009-09-25 | ワイン イヴェントとなった猪肉 2009-09-23 | 料理 ▲
by pfaelzerwein
| 2009-09-27 04:24
| 試飲百景
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![]() 演者がライヴ前にぐいっと引っ掛けた安物発砲酒を一杯飲み、酒を注ぎながら味見に街道から外れた隣町のグラウブルグンダーを一寸口に含み、食事にピルツを二杯引っ掛けると流石に酔った。 演者は、そのお蔭で憑依状態に入れたのかもしれない。なにやら、上演前に「葉隠れ」かなんかのような「死」を対峙させた「生」を強調して、そこに続く「無」を説明していた。白地に黒や赤、緑や金などを入れて、「黒は弔いでなく力」と敢えて説明した。 何を隠そう、このパフォーマーは毎年新年会で珍奇な寿司トルテや蕎麦サラダを作る張本人であった。今回のパフォーマンスにも「同じようなもの」を感じたと同時に、そこに紛れもない彼の個性を見たのである。 それは偽りもないと言うか、全くパフォーマーその人の表現である。表現するその人の喜びと動を羨ましくも思わせるそれなのである。だから、事前の説明にも失笑させられながらも、これは受け入れられないと多くの人に思わせながらも、なんとなく受け入れてしまうパフォーマンスなのである。 その意味から、「言葉さえ浮ばない料理」と同一であって、彼の芸術を否定する必要などは無いのである。此方が共感しようが拒否しようが、そこに存在しているのである。全く、彼個人の存在そのものなのである。 それにしても彼の描くものがシンメトリーと環へと落ち着くのはなぜなのか。陰陽なのかどうかと考えていたら、ジョイントしたパフォーマーの方が「女性の顔なんですよね」と言った。 さて、そのユニークさを受け入れたとして、それを残らず腹に納めて、消化できるかどうかはまた別の問題である。なんとなくそこまで喰えないので申し訳ないなという気持ちにさせるのも個性なのであろう。 参照: 言葉さえ浮かばぬお料理 2009-01-19 | 料理 塩気の欠けた米国の話 2008-01-22 | 生活 ▲
by pfaelzerwein
| 2009-09-26 16:50
| 生活
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![]() 詳細は追々報告するとして、マクロな目で切ってしまうと次ぎのようになる。今回訪れた中部モーゼルや先日のラインガウまでを含めると殆どドイツリースリングの2009年現在における全容が見通せたといっても過言ではなかろう。 先ず甘口ワインに関しては、やはりモーゼルヴァインに利があることが分かった。これと比べると、温暖化している現在特にラインガウのそれは問題にならない。またプファルツなどでも2008年産には十年に一度の良いものがあったのだが、上等のリースリングの中で喉に甘さが引っかからずすっきり飲めるのは甘口の中でも二割にも満たないことから考えると、中部モーゼルのヨハン・ヨゼフ・プリュムなどの甘口リースリングは他の追従を許さないバランスの配合に満ちている。 一方、ルーヴァーの辛口リースリングは恐らくスレート地盤のそれの一方の雄であるのは間違いなかった。同じ上モーゼルの支流であるザールのような土壌の重さはなくその酸も引き締まった感じがする。同じスレート香のあるラインガウのものと比較すると、ラインガウのものが口に含んだ時間的経過の最初にその臭みが立ちはだかるのと異なり、その酸が前にはだかる長い後味として独特の苦さを引くのがルーヴァーのそれであって、なかなか他の地域では出会えない辛味のスレートの旨味があるのだ。 ナーヘに関しては、あとを引く味のスレート基本としても、その土壌の変化に富むのだが、なぜかその独特の酸の出方は醸造所によらず共通していて、綺麗な熟成があまり期待出来ない。要するに中部ライン地方やベルクシュトラーセのリースリング同様に、個性はあっても洗練された魅力には乏しく、「質に問題あり」としか言えないのである。土壌の潜在能力も限られているものが多そうで偉大なリースリングは存在しないだろう。ベルクシュトラーセと対にして考えるのが良いだろうか。 この三地域とラインガウ地方を加えると略スレート土壌の多様な味覚が確認できて、それと雑食砂岩ベースのリースリングを合わせて考えるとリースリング行脚は完結する。そこに酸を丸くしてしまう石灰成分を加えるなり、火山性の土壌の調味料を加えると出来上がりとなる。 ヴィンテージの特徴を、2003年、2004年、2006年、2007年、2008年と試飲して吟味する事が出来たが、それは殆ど他の栽培地域とも共通していた。2003年などが売り切れずに余っているのは豊作もあるのだろうが、その酸不足から業者は手を出さなかったのかもしれない。2004年はその涼しい夏から温暖化の影響を受けていない細身のクラシックなヴィンテージとなり、2006年は腐りが襲った葡萄から出来上がった早い熟成香が特徴となっていて早飲みのワインとなっている。2007年はモーゼルでは葡萄の生物学的熟成が進まなかったのか他の地域とは異なりよりクラシックなワインとなっているようである。しかし2004年とは異なり立派なボディーがあって熟成が愉しみなリースリングで、1959年産に匹敵すると言われる。2008年産は、どの地域も独特の葡萄の出来上がりでそのスパイシーさは、下位のワインでは明らかに嫌味な味として浮かび上がり、やはりこの地域でも上位のリースリングとしてはじめて飲めるヴィンテージとなっている。 今回はルーヴァーヴァイン愛好家でこの地域に一際造詣の深い緑家さんの醸造所訪問に便乗させて頂き、大変有意義な試飲の機会を与えられたことを感謝したい。そのワインの詳細については、嘗てからの疑問であった特定の食事 ― 日本食など ― への相性や、雑食砂岩リースリングとの差異を軸として改めて吟味する。 ▲
by pfaelzerwein
| 2009-09-25 01:56
| ワイン
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一泊二日の旅行中に帽子を忘れた。何処に忘れたかは検討がついているが、取りに帰ることも、送らせることもしない。この帽子を買ったのは去年の五月の事と記している。大分使ったので汚れていた。そのためか諦めるのも早かった。何か潮時と感じたのも事実なのだ。
その間の自らに付き纏う様々な進展を考えれば色々な意味で「一区切り」ついているのは明白なので、なにか次ぎの段階を迎えたような、それは丁度新調品を下ろすときの気持ちに似ているのである。 さていよいよ新学期である。今年高等教育に進学した数は史上最高で、バカロレア試験第一次世代となるらしい。米国やその影響を受けた国々のように高学歴社会になるとますますその程度が下がっていき、欧州特有の専門家が減り、頭を取り代えて誰でもが身代わりに入れる社会になるのである。人間など要らない、ロボットがあれば十分なのだ。それを公平な競争社会と言うならば明らかに間違いなのである。こう言うのをバカロレアならずバカヤロー社会というのだろうか? 参照: 新極右翼親仁に学ぶこと 2009-01-26 | マスメディア批評 反照に浮かび上る世界観 2008-12-21 | 歴史・時事 IDの危機と確立の好機 2005-04-20 | 文学・思想 大衆文化に混ざるもの 2008-12-18 | 文化一般 ティーチャー改め、 2005-01-28 | 女 シュヴァーベンの隣人 2008-05-21 | 生活 非公認ガイド修行の午後 2008-06-06 | アウトドーア・環境 ▲
by pfaelzerwein
| 2009-09-24 03:07
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猪肉を食した。モーゼルの支流であるルーヴァーの猪である。しこたま葡萄を摘んでいるのか白肉菜食っぽい肉質であった。それでも赤ワインを合わせた。
小さな三つのステーキ肉はなかなか良い場所だったようで臭みも殆どなく、七面鳥のような按配でとても美味かった。 ワインの方は、蔵出しの2004年産のピノノワールであったが、タンニンも柔らかく効いていて食事にはとてもよく、品質も高かった。 やはり旅のメインイヴェントの一つはその土地の食事であると納得するのであった。 ▲
by pfaelzerwein
| 2009-09-23 03:51
| 料理
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久しぶりに鱒を喰って帰ってきた。その場所はネットで見たことがあり知っていたのだが、出かける機会がなかったのだった。我家からするとパリへと延びるアウトバーンを越えて行かなければいけない。決して遠くはないのだがそこで何か分断されているような感が強い。
やはりワイン街道から北上するとそのワイン栽培地が消えることが余所へと来た感じを与える最たる理由だ。それでも今回はハールトの裏側を歩いて行ったのである。 鱒は、嘗ては氷室に入れる氷をとる湖で養殖されている。だから新鮮な鱒がそこで楽しめた。ミューラリンと呼ばれるムニエルを食したのだが。なかなか良かった。 南ワイン街道にも美味い所はあるのだが定休日の都合やその遠さなどからなかなか身近には良い店は無くなって来ている。食事も場所にもある程度満足出来たので一度車で改めて食事に出かけて見ようと思う。 久しぶりの鱒料理 久しぶりに鱒を喰って帰ってきた。その場所はネットで見たことがあり知っていたのだが、出かける機会がなかったのだった。我家からするとパリへと延びるアウトバーンを越えて行かなければいけない。決して遠くはないのだがそこで何か分断されているような感が強い。 やはりワイン街道から北上するとそのワイン栽培地が消えることが余所へと来た感じを与える最たる理由だ。それでも今回はハールトの裏側を歩いて行ったのである。 鱒は、嘗ては氷室に入れる氷をとる湖で養殖されている。だから新鮮な鱒がそこで楽しめた。ミューラリンと呼ばれるムニエルを食したのだが。なかなか良かった。 南ワイン街道にも美味い所はあるのだが定休日の都合やその遠さなどからなかなか身近には良い店は無くなって来ている。食事も場所にもある程度満足出来たので一度車で改めて食事に出かけて見ようと思う。 ▲
by pfaelzerwein
| 2009-09-23 03:49
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