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気象温暖化の具体的な影響

今年は違う。なにが違うのだろう。少なくとも、今年は一月近く紅葉が続いている。異常である。それだけ夜間の温度が低かったと言うことだろうが、2010年も特別な年になりそうである。なにも2012年を待つまでもない。

各地の醸造所から例年に無く続々と送られてくる案内や、売り物の2008年産と2009年産の状況も少し趣が違う。一つは2008年産のリースリングの売れ行きが特別悪かったということではあるまいか。自身、現在までの購入本数は限られて、その殆どが保存用である。おそらく海外にも2008年産リースリングは流れるであろう。しかし心配は不要である。その倦厭された酸が素晴らしい落ち着きを見せるのが海外市場で売り出されるときだからである。そこから大胆予想をすれば、2008年ドイツ産リースリングは海外でブレークする可能性があるだろう。つまり、最初の山が丁度瓶詰め後一年ぐらいに来る可能性があるからだ。そうなればドイツワイン法改正へと大きな弾みがつきそうだ。

秋から冬に掛けて受け取った醸造所からの便りはどれもこれもそうした背景の状況を映し出していているのだが、本日受け取ったラインガウのロバート・ヴァイル醸造所のヴァイル氏のインタヴュー記事はなかなか面白かった。シャトー・ラトュールのバリックが表紙となっているドイツ語圏向けの「ファイン誌」で語っている内容は、気象温暖化の具体的な影響と今後に向けた考え方である。次世代の2050年を見据えた経営戦略や、百年前の世代へと戻るワインのカテゴリー別けへの復帰に、現在の取り組みが詳しく述べられている。耕作地高度を高い方へとテリトリーを広げることに将来への可能性を残すことと、それだけの土壌を確保している自負とともに、一時は栽培したワインを発泡酒用に売らなければいけなかった「寒冷期」の想い出も綴られている。

具体的に表現するならば嘗ては寒い晩秋・初冬まで果実の熟成を待たなければいけなかったのが、今は気温が高い秋に如何に長く葡萄を摘み取らずにおいて、紅葉に見られる如く糖の林檎酸を介した葡萄の木のエネルギー節制への、葡萄ジュースの深み至る過程こそがそこで求められる。もし糖分や酸濃度が十分だからと言って早めに葡萄が摘み取りされたならば、昨今のその後の気温の高い状況下での腐りや黴の危険を避ける事は出来るが、それでは決して偉大なワインとはならないと言うのである。例えば今年の冬は長かったのだが、暖かくなるや否や開花して仕舞い、結局例年に比べて二週間も早い開花となったのである。80年代のように長い春は無くなったと言う。そうなると、全ては二週間早くなり、嘗ては冷蔵庫に仕舞っておいたかのような外気の中で熟成する葡萄を待った様には今は放っておけないのだ。つまり数日間のうちに沢山の葡萄を一斉に摘み取らなければいけない緊迫した摘み取り作業となっている。如何に人手を手配出来るかという、既にここでもその能力の弱小な醸造所については触れた通りなのである。これ以上はワイン醸造所経営講座になるので触れない。

我々ワインを多少なりとも嗜む者にとって関心があるのは、その嗜み方であるかも知れない。誰もが思うのは、出来る限りそうした事情を先取りして美味いワインを安く入手して、出来るならば先行投資して、来る時に素晴らしい機会に素晴らしいワインを皆で愉しみたいという希望なのである。それはなにもワインという少なからず刹那的な愉しみだけでなくて芸術や文芸にも通じる感覚かも知れない。そのためには、なにが起こっているか、なにを人は考えているのか、どのように対処するのかなど、自らの環境に思いを巡らすしかないのである。


以下に醸造所からのお知らせ内容の概要:

バッサーマン・ヨルダン醸造所 ― 期待される最高級のヴィンテージ2009年産、それでも少量。九月初めから十月末までにアイスヴァインまで収穫。新鮮で果実風味豊かなブルグンダーに繊細で印象的なリースリンク。ラインヘーレとイエズイテンガルテンで糖比重205エクスレ、215エクスレのTBA。十二月初めには2009年産ピノグリとブランを提供。一足先のクリスマス挨拶。

フォン・ブール醸造所 ― 寒い冬からの一斉の芽吹き。十年振りの霜も雹の被害のない作柄で生理学的成熟。九月十五日から十月二十二日までの収穫期間に、糖比重166エクスレの葡萄を収穫。赤ワインは、構築的でアロマに富み色も濃い。缶詰ザウマーゲンとヘアゴットザッカー摘み合わせやペリゴーのフォアグラなどの祝祭日パッケージの販売。

ゲオルク・モスバッハー醸造所 ― 2009年収穫非常に早く終える。好天で乾いた晩夏の賜物で健康且つ黄金の完熟葡萄を収穫。醸造中のワインは果実風味と、繊細でバランスの取れた酸が大変期待される。ヴァインプルスサイトで六種のワインが高評価、またファルスタッフ誌にて91点から93点獲得した2008年産は、ジューシーでミネラル風味タップリ、繊細な酸構造と適度なアルコール。化学的アナリーゼなどをHPに掲載。

A・クリストマン醸造所 ― 新醸造蔵改装完成の報告と記念して詰め合わせパッケージの販促。長く続かなかった2009年の冬と春の訪れ、適温で雨にも恵まれた間髪入れずに続いた初夏。特に七月の快晴と恵みの雨を挙げ、暑過ぎない暖かい理想的な夏と晩夏を振り返る。それによる全く健康な熟成と九月に入ってからの落ち過ぎない酸をして、あとは来年の出来上がりがそれに見合うかどうかだけと、VDP会長自らが語る。(十二月一日追記)

ミュラー・カトワール醸造所 ― 試飲会への誘い。ヴァインヴェルト誌で2008年産が最高のリースリングとして表彰される。ビュルガーカルテン・リースリングのみならずマンデルリンク・ショイレーベやリズラーナー・アウスレーゼもフランツェン親方の成果として明るい将来を展望。またヴァインプルスにて、前任者シュヴァルツ氏の陰に隠れて心配をされたフランツェン親方が「少なくとも2007年産からそうしたものを払拭した」と、表彰風景写真と共に告知される。

レープホルツ醸造所 ―  今後は赤はシュペートレーゼに専念すると言明。その試飲会への招待と、ご進物アイデアの披露。2009年を待ちに待った良年として、05、97、92の方向を予想して、08年や07年と全く異なる個性とする。酸濃度も糖比重も理想的範囲にあるので03年のようなことは避けられたと、一部にはある酸の弱さを否定している。現行の08年についてその強調される酸と低いアルコールその成長振りは偉大なワインにならないとする春の予想を越えたとしている。それが、軽くて味の薄くないワインになったと、高いミネラル風味は殆ど海水のスパイシーさを思い起こさせ尚且つ長持ちするとご満悦である。嘗てゾンネンシャインと呼ばれていた1999年産ガンスホルンがベルナルト・ブロイヤー杯で最も長持ちして熟成したリースリングとして選れたと紹介。

フォン・シューベルト醸造所 ― クリスマスに向けての奥さんが商うブルゴーニュなどの赤ワインやギフト商品の紹介。現行のワインリストに、葡萄を好色する猪肉の詰め合わせの紹介。石展示販売会への誘い。

シュロース・ザールシュタイン醸造所 ― 現行リストの送付と、軽さと繊細の優しい香りと新鮮な酸の2008年産の特徴とお試しパックの紹介。2009年産は再び販売の軽めのサマーワインのために地所を貸借したこと、ピノグリを600Lはじめて収穫したこと。冬もテラスでの試飲への誘いと来年八月の試飲会のお知らせ。

ロバート・ヴァイル醸造所 ― 上の本記事の内容を更に説明して、三つの地所を紹介。そして、2008年産グレーフェンベルクのグランクリュがファルスタッフ誌とヴァインプルスにおいて、94点、100点を獲得したことなど数々のプレス評価を披露。現行リストに、趣味で造るピノノワールが冬には良いとお勧め。



参照:
2009モーゼル収穫結果 (モーゼルだより)
同じ過ちを繰り返す危険 2009-10-08 | アウトドーア・環境
婿殿、天晴れで御座います 2009-11-04 | 試飲百景
by pfaelzerwein | 2009-11-15 05:51 | アウトドーア・環境 | Trackback

バイケンでぬかるむ

d0127795_2223175.jpgラインガウに遠征した。雨上がりの泥濘を、お目当てのバイケンの地所をさっと散策した。

そのザクザクとした歩き心地からも目視からも分かるように、高山の山道などにあるささくれた石が砂利状になった土壌である。そして写真でも分かるように、用土状の土が畝に乗っていて、全体に思いのほかあまり明るい色の土壌には見えない。

小さな谷を一つ越えて、その向こう側に落ちる北向きの斜面がグラーフェンブルクの土壌でありそこの明るい色彩とどうしても比べてしまう。

同じ北向きであるバイケンの方は、如何にも朝夕の冷えがありそうで清々しい酸が期待出来る葡萄が生育しそうである。

一つの畝を降りて行き生育状態を調べると若く決して熟成はよくないが健康的な小さめに葡萄が切り詰められて実っている。

そして谷へとお尻を向けて森へとすっと逃げて行く雄のバンビも欠かさないd0127795_2231464.jpg
by pfaelzerwein | 2008-09-18 02:23 | ワイン | Trackback

中庸に滴る高貴な雫

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フランスで買ってきたシャドネーをコールドミールに合わせる。鱒の燻製と野菜であるが、パンに塗った新鮮なバターと共に食が進む。ホースラディッシュがなくても旨い。

バリックの新鮮な木樽が旨く味付けとなっていて、その酸ともども価格相当で決して悪くはない。しかし、白ワインはやはりドイツのそれの方が断然旨く、自然の香味に溢れていて高級である。

つまり、これと前後してミュラートュルガウのリッター瓶を飲むと、決して味の面ではそれほど悪くはないのである。

さて、二年前に購入したラインガウの名うての地所バイケンからの辛口シュペートレーゼを満を持して初めて家で開ける。試飲した時は大変酸が鋭く、同行者などはこれ買うの?と言ったものだ。価格は、15ユーロなのでこのクラスとしてはそれほど高価ではない。

このフォン・ジンメルンの2005年産リースリングには、まさに当方がラインガウワインに求めているニュートラルな味わいがある。香りも悪くはないが、なんといってもマルメロ風の味わいは、洋ナシのような嫌味も無く高貴である。

瓶詰めから二年経っているだけに、試飲した時の酸は幾分丸くなっていて、そのニュートラルの味が余計に引き立つ。これから、やっと飲みごろの感じで、数年後が愉しみなワインである。ある意味、その癖の無さが酸の一面的な支配を感じさせて、うすべったい印象を与えていた可能性があるものなのだが、味わえば味わうほどにその多彩なニュアンスに気付くであろう。

ナッツの味とか果実風とかでは表せない千枚岩質のミネラル風味の奥行きと言えるだろうか。ヴィンテージは異なるが、これを他のシュペートレーゼと比較するとき、その価格と言いニュートラルの個性と言いこれ以上に高貴なリースリングはそれほどないのである。

食事に合わせるにはまだ熟成の時が必要であるが、繊細であればあるほど何回も口に含んで楽しむので直ぐに瓶が空いてしまう。そして幾ら飲んでも飽きないのだ。だから良いワインは幾らでも量を飲めるのである。反対に、量を飲めないワインは悪いワインと考えて間違いない。



参照:
価値のある品定め [ 試飲百景 ] / 2008-05-07
とても幸せな葡萄の光景 [ ワイン ] / 2008-05-05
ラインの穏やかな中庭 [ 試飲百景 ] / 2006-09-11
仲秋の暖かい黄色い焼芋 [ 料理 ] / 2007-09-25
香りの文化・味の文化 [ ワイン ] / 2008-06-07
昼から幾らでも飲める味 [ ワイン ] / 2008-08-11
by pfaelzerwein | 2008-09-03 02:44 | ワイン | Trackback

2006年産の良い地所

仲秋と言うのに少し汗ばむほどに暖かい。例年は、九月の前半の週末に訪れるのだが、不在をしていて、今年は後半にキードリッヒのロバート・ヴァイル醸造所に伺った。

駐車上の混みようを見ても例年よりも盛況な感じであるが、最終週の訪問は初めてなので断定的なことは言えない。予め電話で確認していたように、収穫は既に始まっているが、最も良い地所のグレーフェンベルクなどはこれからである。

その斜面の下に立つと例年の如く湿度が高いのを感じる。これはラインガウ地方のマイクロ気候の一つなのである。そして夜間は川から吹き挙げる風で冷えるというのだ。それも何度も言うように年間を通じて歩いて見なければ分からない。今回は、更に向学心からラインガウの土壌の特徴も予め下見をした。

グレーフェンベルクは千枚岩が白っぽいことから珪素や水晶を多く含んでいると想像される。さらにその周囲の土壌も似ていて、小さな谷を隔てて反対側のラウエンタールの斜面には石灰質の含まれない名うての地所バイケンがあり、そこでも白雲母の珪酸成分も無視出来ない。

それがラインガウ独特の鉱物的な味をそのまま想像させる。大まかにイメージすると比較的シャンパーニュ地方などに近い。そうした繊細さに土壌の味が香料となれば良いワインなのである。

王家を含む貴族的名門の所有や州立に移譲された地所には、マンベルクを含むマルコブルンのような石灰質を特徴としたり、スレートを持ったシュタインベルクなどの多様性がある。その点、小規模の平民の醸造所はどうしても、そうした変化には恵まれない分、単純なリッターワインからアイスヴァインまでを収穫することをモットーとしていて、競り市などで高額に競り落とされるのを名誉としている。

そうした歴史的な条件から、試飲するワインにそのような多様性を求めるわけにはいかないが、それだけにヴィンテージの品定めと質に拘らなければいけない。

結論から言うと2006年度は、モーゼルやミッテルハールドなどの腐りとは異なり、小粒で密集しない葡萄から比較的健康な収穫が出来たことが証明されていた。収穫量も落ちて居るとは言え、それほどドラスティックな結果とはならなかったようである。

それどころか、マイスターの説明によれば、シュペートレーゼや半辛口と言えども軽みのあるワインに仕上がったのはヴィンテージの特徴となる。酸の質は、少なくとも現時点では大変良い。その軽いテーストは、偉大なラインガウワインには程遠いかもしれないが、ここのワインにそれを求めるのはその土壌からして誤りだろう。

しかし、その快適な酸とアルコールがある程度の寿命を意味するならば、ここ数年のヘタレ方は今回はないのではないか。購入したグランクリュも、細身であり、今でも充分楽しめそうなのである。その価格からしても、五年以内に飲み頃になってくれれば十分のような気もする。ミッテルハールトのような、十年寝かしてもお花畑の香りが広がる地所ではないことから、適当であれば良いのだ。

その反面、そのデリケートな味は、もぐりの呼称「ファインへルプ」と言われる甘くはなく酸も柔らかなワインにも表れていて、早飲みの楽しさを満喫させて呉れるだろう。ついでながらこの名称は、ハルプトロッケンと変わらないが、場所によって使われるクラッシックやシャルタの甘めのものと考えれば良いだろうか。

そのシャルタ・ヴァインと呼ばれる食事用のカテゴリーにもその酸が同じように生きていて、例年に比べると一年後の消費も期待出来る。

それ故に、半辛口からグランクリュにかけてのカテゴリーにおいても、明らかに瓶熟成の可能性が加わっている。この辺りの醸造所内のコンセプトは、ここでの批評に伴うように、あまり明らかにしたくは無い様子である。

甘口は相変わらず残糖感が強いが、他の醸造所から葡萄を買い入れた辛口リッターワインにおいて殆ど残糖感を残さないようにする努力は、ここにも見られる。二種類のゼクトは、上のような特長が集約されて、今回初めて良いと感じるものである。

シュペートブルグンダーは、後まわしにして飲むのを忘れたが、特に触れる必要も無いだろう。

ゲーテが1814年9月6日に記した「ラインガウの秋の日々」日記から引用してこの試飲記を終えたい。

ワインの良さは、地所によるのである。そしてその遅い収穫にもよる。これで、富んだ者も貧しいものも、永遠に争そっている。誰もが沢山のこの良いワインを欲しがる。
by pfaelzerwein | 2007-09-27 02:31 | 試飲百景 | Trackback

仲秋の暖かい黄色い焼芋

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ラインガウ地方で猪を食べたことを昨年の冬に書いた。今回は、猪肉のニコゴリを食した。ラインガウの山には猪も多く、伝統的に良く食べられているのだろう。

昼食抜きで試飲を繰り返していたので、腹が張って苦しかったが、酔い覚ましを兼ねて軽食をとる。サラダ類もあったが、折からの初冬ではないが小春日和に、初めてのバルコンに出てラインの水面を眺めながら食事なので、暖かい焼きジャガイモとニコゴリにする。

このワイン酒場は、醸造所の敷地内でそのワインが出るので、蔵出用のワインを飲む。流石に、グランクリュからTBAまでのワインを試飲した後では、つまらないワインでしかない。

ニコゴリの方は、期待に背かず、猪の味が良く出ていて、ジャガイモがもう少し暖かければ、ゼリーを溶かすのだが、なにせ腹が張っているので、元気一杯にナイフとフォークで潰して準備する元気が出ない。d0127795_014932.jpg

サラダの方は、写真を見て分かるとおり、思い掛けなくステーキが乗っているヴォリューム感があり、ステーキもこんもりと盛ってある。

お勘定も、一人15ユーロ、二人で40ユーロと大変リーゾナブルな食事であった。
by pfaelzerwein | 2007-09-25 00:04 | 料理 | Trackback