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今は昔の歴史と共に死す

ピアノ名人のフランツ・リストの曾孫であり、リヒャルト・ヴァーグナーの孫であるヴォルフガング・ヴァーグナーが九十歳で昨晩亡くなったと未明に発表があった。世継ぎ問題で政治問題化していたが、昨年解決済みで思いを成し遂げたのだろう。

早世した兄のヴィーラントとは比較出来ないほど演出家としては凡才であったが、半世紀に渡ってヴァーグナー音楽祭の監督として君臨した。

しかしその反面アーティストプロデューサーとしての功績として、将来に渡って語り継がれるものに、パトリック・シェロー演出の四部作「指輪」、ゲッツ・フリードリッヒの「タンホイザー」、ハイナー・ミュラーの「トリスタン」、そしてシュリンゲンジーフの「パルシファル」などが挙げられる。

特に、ピエール・ブレーズ指揮とシェローのフランスチームでのそれは大事件となりながらも、その読み替えは音楽舞台上演の世界に大きな影響を与えた。

ヴォルフガンク・ヴァーグナー博士は自書で当時のことを振り返っていた。監督夫妻に脅迫状が届き警察の護衛が必要となり、劇場では女性の衣服が引きちぎられ、ピアスが平手打ちで耳朶を引きちぎる騒ぎとなった。

日本で云えば、靖国問題に躍起となるようなヤクザな国粋主義者が騒ぐの全く同じような、馬鹿騒ぎが繰り広げられたのは1976年から1980年のことであった。現在から考えると、1968年から僅か八年しか経っていなくて、その後のEUの進展も迫っていた時期だと分かる。今は昔のお話であった。



参照:
Wolfgang Wagner ist tot,
家系図 (SPIEGEL ONLINE)
迫る清金曜日の音楽 2008-08-27 | 文化一般
オーラを創造する子供達 2007-09-24 | 文化一般
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by pfaelzerwein | 2010-03-22 17:05 | 雑感 | Trackback

迫る清金曜日の音楽

ヴォルフガング・ヴァーグナーの正式な監督任期切れがこの金曜日に迫っている。それまでに、ヴァーグナー家から過半数の三票を集める次期監督への統一候補が擁立されないかぎり、九月一日の総会にて新たな監督選びが開始される事になる。

そして先週末までは、四月に退任表明した作曲家の孫に当たるヴォルフガンク前監督の推薦する後妻の愛娘カタリーナと、そのお目付け役となる腹違いの先妻の娘エファー・パスキエー女史が推薦される事となっていたと言われる。

しかし去る日曜日高名なモルティエー博士は、ヴォルフガンクの兄で高名な演出家ヴィーラントの娘で実力者ニケ・ヴァーグナー女史と共同で次期監督に立候補すると、財団にファックスにて書類を提出した。

これによって、一気に情勢は変わり、親族間での合意は難しく、不適任とされるカタリーナの監督就任はなくなったとするのが一般的な見解である。

更に、モルティエー博士とニケは、エファー・パスキエーとの共同作業の可能性を示唆している。カタリーナを飾りにして実質的に実権を握る構想のあっただろうエファー・パスキエー女史は、昨年12月に立候補した祭の従姉妹ニケと連携を破棄して、バイエルンの文化大臣トーマス・ゴッペルの勧めに応じて、連携相手を変えて腹違いの妹カタリーナと立候補したのであるが、本人次第ではカタリーナ外しの体制も可能となる。

その場合も ― 闇約束の噂があり ― 本人の意思の尊重を配慮する事を条件に年老いたヴォルフガンクに引導を渡したとされる財団理事会としては、所定の手続きを経る事になると言うのだ。しかし、ドイツ連邦政府を代表するインゲボルク・ベルクレーン=メルケル女史は、ヴォルフガングの無条件退任を記者会見にて言明している。

そのカタリーナ・ヴァーグナーの評判は、経済的な支援組織であり選考の票を保持しているバイロイト友の会においても、自身の楽劇演出でつまらない挑発をした事から地に落ちている。ゆえに連邦政府・バイエルン州・バイロイト市や三大ドイツ歌劇場の代表などの不支持の前に、お目付け役との組み合わせによる妥協策すら、対立候補によって、その影すら薄くなってしまった。

個人的には、ザルツブルク時代のモルティエー体制の支援者の一人であったので、その芸術的な可能性にも期待したいが、なによりも先日指揮者のクリストフ・フォン・ドナーニが語っていたような総括を期待したい。

要するに、反ナチズム・反人種主義で絞首刑にされた法律家で政治家の高名な父親や親戚を持つこのスター指揮者は、ヴァーグナー家とナチとの関係が今だに資料的にも十分に明かされていないことから、なによりもそれを願っているのである。

今回、仮にモルティエーが監督に就任することで、ヴァーグナー家の人々と共にそれが清算出来るようになれば、それは芸術的な創造と殆ど等しい行ないになるのではないかと思われる。何れにしても既にここ暫らくの公演計画は決まっているので、じっくりと新体制を検討すれば良いことだと言われている。


追記:24票の内5票を有する連邦政府の副代表者トーマス・シュテックは、文化放送3SATの番組にて、現在囁かれている「間違いなく良い将来性のあるコンセプト」以外の要素は、重要ではないと述べ、ただの基準でしかない前監督との合意のもと、そのコンセプトとヴァーグナー家の提案をもって、来週月曜日以降監督人事が決定されると語る。前監督が再び退陣を覆す可能性を否定しながらも、人事への合意があったかどうかには触れないとした事から、先の無条件退陣の言明とは矛盾するとされている。



参照:
"Gérard Mortier und Nike Wagner bewerben sich",
"Wende in Bayreuth" von Patrick Bahners,
"Die Situation ist da" von Julia Spinola,
FAZ vom 25.08.2008
"Bayreuther Lage" von Julia Spinola, FAZ vom 26.08.2008
ジェラール・モルティエがバイロイト後継レースに名乗り (「おかか1968」ダイアリー)
妻フリッカの急逝とその娘 [ 女 ] / 2007-12-01
バイロイトの打ち水の涼しさ [ 生活・暦 ] / 2005-07-
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by pfaelzerwein | 2008-08-27 01:16 | 文化一般 | Trackback